日本ほど、国内観光旅行の行き先に困ってしまう国はそうそう無いでしょう。
それだけ日本は南北に広く様々な気候や自然環境が存在し、それに適応した各地の文化が発達して、現在における様々な文化的、自然環境的な観光スポットを生み出すに至っているのです。
単一国家の中に、寒帯のウィンターリゾートから熱帯のマリンリゾートまでを満喫出来るスポットが存在している国はそうそうありません。
また歴史も長く、それに関する文化や建築物といった観光要素が国内満遍なく存在し、各地を訪れる意義や魅力に溢れているのです。
また国内における快適な交通利便性もまた、日本の豊かな旅行文化を築き上げた一つの大きな要因ともなっています。
今や一見僻地に見える様なスポットでさえも、レンタカーやバスを利用すれば確実に訪れる事が出来る様な充実した交通事情が、日本国内隅々に至るまで完成しており、自分の訪れたい土地に対し、躊躇せずにアクセス出来る時代となっているのです。
加えて一つのスポットに対しても自然、文化、レジャーを始め、様々な切り口から楽しめるケースも多くなっており、特定エリアに対し繰り返し旅行に訪れるリピーターの数も増えてきています。
各地の多面性を見る事により、より深く自らの知見を深められるメリットもまた魅力なのです。
観光とは、一般的な意味において旅行の事を指します。
語源は易経と言う、中国の古い占い書物に書かれてある「観国之光、利用賓于王」からだといわれています。
大正時代に入り、英語の「tourism」に対する訳語として用いられるようになりました。
日本において、観光と言う言葉が定着したのは1960年代であり、それまでは「遊山」「行楽」「漫遊」などと言った言葉が利用されていました。
現在、観光と言えば純粋な楽しみとして広まっていますが、かつては易経の意味である国の光り、つまり国の文化を見るという行為に重きをおき、主として海外旅行者の誘致に使われる言葉でした。
その後、文化芸術を楽しむ行為自体に価値を見い出し、見学することがステータスであるとされ、国民の間で流行しましたが、目的地は重要ではありませんでした。
やがて行楽が当たり前の時代になると、今度は目的地が重要となり、行き先によっては自慢の対象となる時代が到来します。
それも終わり、現在のような楽しむ目的に特化した物になりましたが、そこから更に進み、楽しい気持ち、癒されたい、と言うような感情に起因する時代が訪れているとも言われています。
その時代ごとの旅行パンフレットを見る事で、当時の利用者が何を求めているのかが判ります。
最終更新日:2024/10/7